モバイル決済導入後、単価上昇という早期売上効果があり、また設置先からの「Ki-Re-i」の評価が上がっている。
モバイル決済の中でも利用者数が一番多いと想定していたPayPayは外せないブランド
株式会社DNPフォトイメージングジャパン
証明写真機「Ki-Re-i」は全国に約7,400台設置。その内、PayPayなどモバイル決済が利用可能な「Ki-Re-i」は2,500台。今期中5,000台設置を目指しています。
※2021年8月時点
「全世代を通してキャッシュレス決済利用者が増えてきており、今後も推進する必要があると思っています」とおっしゃる一三(かずみ)様と平岡様、山本様に、QRコード決済を導入した経緯や今後実装していきたいサービスなどについてお伺いしました。
- インタビューに応じてくれた
株式会社DNPフォトイメージングジャパン
企画本部 一三様(左)、平岡様(中央)、山本様(右) - モバイル決済導入は、既存ハード部品(リーダー)を活用したので、ソフト改修のみという比較的低投資で開始することができました。
PayPay導入を決めたポイント
- 感染症対策だけではなく、ご利用者の利便性の向上を目的として、料金のお支払いにQRコード決済を導入
- 現金を扱う業務を減らすことは長い目で見て業務効率化が図れるなど、メリットがある
パスポートや運転免許証などの公文書、履歴書などの私文書、入学試験や資格試験などの願書などに必要な証明写真。無人の証明写真撮影機は、写真館に行かずとも駅や街で気軽に撮影できるとあって、いまでは「証明写真機、あそこにあったなあ」とすぐに思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。証明写真機の歴史は古く、DNPフォトイメージングジャパンの前身の会社が1960年代に初めて設置したのは銀塩プリント式。その後、早い・安いが品質が良くないと言われていた3分間スピード写真のイメージを一掃したのが2000年に登場した「初代Ki-Re-i」です。「写真館相当のライティング設計」「デジタル印刷」など新技術をKi-Re-iに取り入れ、女性をターゲットにキレイに撮影できる証明写真機としてブランディングを開始しました。
――「Ki-Re-i」について教えてください
一三:証明写真機「Ki-Re-i」は、国内に約7,400台というトップクラス(2021年2月 DNP調べ)の台数を設置しています。いち早くタッチパネルを導入し、操作性はもちろん、高画質・高耐久の証明写真が印刷できるのが特徴です。「写真スタジオに迫るライティング技術」は、他社と比較しても本当にキレイに撮影ができると自負しております。またネット接続機能を充実させており、画像データを提供する「Withスマホ(証明写真画像データサービス)」 はWEBエントリー用にとご利用いただいています。
平岡:新規で設置を検討いただいている場合は、弊社が設置から保守、点検、消耗品の供給、集金まで全て責任を持って行っていますので安心してご相談いただきたいです。日本全国に万全なメンテナンス体制を敷いています。専門技術をもつメンテナンススタッフが定期的に巡回し、機械の点検と清掃を行っています。
ネット接続によるサービスが充実
――他社との違いや強みについて教えてください
一三:ネット接続による画像データの提供は各社でも行っていると思いますが、「Ki-Re-i」にはQRコードリーダーを活用した他社にはないサービスが充実しています。
弊社だけのサービスとして、法人向けソリューション「DNP顔写真収集サービス」があります。これは、ご契約企業の社員の方が街ナカの「Ki-Re-i」で撮影していただければ、弊社サーバーを介してご契約企業様へ顔写真データをセキュアにお渡しするサービスです。最近ではWEB会議やビジネスSNS等で社員の顔写真が必要とのことで、採用いただく機会が増えております。このサービスを始めるにあたり、撮影者ごとのID番号(QRコード)を読み込むためのリーダーが必要だったので、 「Ki-Re-i」にリーダーを搭載しました。
「DNP顔写真収集サービス」詳細: https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/10161364_1567.html
平岡:2015年に政府のマイナンバーカード申請受付が始まった際には、このQRコードリーダーを活用することで証明写真機から申請が完了する新たなサービスをスムーズに開始することができました。マイナンバーカード申請書のQRコードをかざして撮影するだけで申請が完了できる手軽さもあり、ご好評いただいています。
マイナンバーカード(Ki-Re-iで直接申請)詳細: https://www.dnpphoto.jp/products/kirei/mynumber/
山本:他にも、お客様のスマホに入っている写真をポストカードサイズで1枚100円から印刷できる「Piプリ(ピプリ)」があります。全国の「Ki-Re-i」のうち約5,000台に搭載しています。このサービスにもQRコードリーダーが活かされています。
「Piプリ(ピプリ)」詳細: https://www.dnpphoto.jp/products/pipuri/
トレンドが読みづらいが大幅な増減はない
―― コロナ禍においての証明写真機の影響について教えてください
一三:海外への移動に制限がございますので、パスポート写真の利用者が明確に減っていると感じます。また、2018年まではシーズナルに合わせて利用者数の波が安定していたのですが、コロナ禍においてはそのトレンドが読めなくなっていますね。受験シーズンが後ろ倒しになったことなどの影響ではないかと思います。月によって売上の増減はありますが、いまのところ全体を通して大幅な増減はありません。
女子高生の間で証明写真が流行!?
山本:最近では、普段はプリントシール機を利用している10代の女性から「証明写真機だとエモい写真が撮れる」と注目されています。実際に、ラジオ局から取材を受けました。気軽に証明写真機を使っていただくきっかけになっていることはありがたいですね。
衛生面と利便性向上のために
平岡:高品質な証明写真の提供だけでなく、衛生面にも配慮し、ご利用者の皆様に安全・安心にご利用いただくための強化に努めています。
感染症対策だけではなく、ご利用者の利便性の向上を目的として、料金のお支払いにPayPayを含んだモバイル(QR)決済を導入することにしました。
PayPayは外せないブランド
――モバイル決済を導入したきっかけについて教えてください
一三:弊社は、PayPayのグループ会社であるソフトバンクと取引があります。キャッシュレス化が進み、 「Ki-Re-i」 もQRコード決済を導入しようとなったとき、ソフトバンク営業の方に相談したんです。それがきっかけですね。
――PayPayのイメージはどのようなものでしたでしょうか?
山本:PayPayは、利用者数が多く、アプリが使いやすいというイメージです。PayPayボーナスの付与予定額がアプリですぐ確認できたり。市区町村、特定メーカーと連携したキャンペーンを行っていて、利用者にとってお得で楽しい決済サービスだと思います。
QRコード決済が実現する安堵感と不安
――導入を決めてから実装までどのくらい時間がかかりましたか?
平岡:元々、DNP(大日本印刷)と弊社はマルチペイメントのゲートウェイサービスと繋がりがあったので、2019年4月からQRコード決済導入に向け調査を開始し、関連部門との調整、システム開発と進めていき、2021年1月から本格稼働しました。
――導入前に、不安や心配に感じたことはありましたか?
一三:QRコード決済のインフラがいよいよ実現するという安堵感はあったと記憶していますが、新たな決済方法が増えることで関連部門はそれぞれ不安があったようです。「Ki-Re-i」側から社内システムまでの売上データ連動が正常に実現できるか、決済データを管理できるかなどですね。システム開発、検証を進める工程で正常に稼働することが確認できました。管理データについては管理システムの機能や操作を把握したことで解決しました。
また、どのQRコード決済へ対応しようかということについても議論がありました。ただ、社内でどのブランドを導入するか再度検討するなかでも、利用者数が一番多いPayPayは外せないブランドとして考えていました。
緊急時に現金以外での返金が可能に
―― QRコード決済を導入していかがですか?
一三:設置場所によって異なりますが、キャッシュレス決済の中でも、QRコード決済を利用される方が増えたと思います。特にPayPayさんはコマーシャルもされていらっしゃいますし、PayPayの利用率はQRコード決済の中で約6割を占めています。
緊急時にお客様からコールセンターにお電話いただいて、郵送で現金小為替をお返しする場合がありますが、QRコード決済の場合はQR管理画面から「取り消し処理」をすればすぐにお客様へ返金されます。
稼働開始後は、お問い合わせが増えるのではないかと心配はありました。 2021年1月に本格稼働したのは、数千台でしたので。実際、問題なく稼働してお問い合わせはそんなになかったです。
山本:PayPay祭などキャンペーン開催時はPayPayでの決済が通常の倍になります。PayPayユーザーはお得な時期を把握しているようです。
「PayPay」効果!?ニュースサイトで取り上げられた
―― QRコード決済を導入してメリットはありましたか?
一三:営業部門は新しい機能が追加されたことがセールストークになると、プラスに捉えていたようです。
平岡:社外向けのプロモーションとして、DNPのホームページに「6つの電子決済サービスに対応」というニュースリリースを出したところ、大手活字メディアを始め様々なニュースサイトで取り上げていただきました。「PayPay」という名前を使わせていただいたことが要因だと思います。その反響で、設置先から「Ki-Re-i」をご指名いただく機会が高まっていると感じています。
QRコード決済で高単価商品の販売数がアップ
一三:コロナ禍もあり利用率の変化は一概には捉えづらいですが、単価の高い商品を選ばれる傾向が明らかに見られます。通常価格800円よりも、エクセレントモード(通常価格1,000円)や「Withスマホ」といった商品を選ばれる方が増えました。
山本:証明写真を撮ることを目的に来たけれど、撮ってみたら仕上がりが良く、あとで使うかもしれないからデータも買っておこうと思う方がいらっしゃるのかなと。撮影をされたあとに「データでもダウンロードしますか?」という画面を出しています。
平岡:小銭を財布から出すのは面倒だけど、スマホで支払えるなら買おうという方はいらっしゃるという分析をしております。
一三:スマホ決済が使えると、若い方のほうが使い慣れていると思うのでPayPayとの相性が良いと思います。しかし、これほど普及してくると、幅広い年齢層で使用されていくと思いますので単価の高い商品の販売は今後も増えていくと予想しています。
検索オプションに追加
――PayPay導入のメリット
一三:自社サイトに設置している証明写真機検索ページの検索オプションで「モバイル(QR)決済」ということを載せられるようになったこともメリットですね。
山本:このワードは、ずっと載せたいという希望があったんです。家の近くにQRコード決済に対応している「Ki-Re-i」 を探していただくきっかけになるといいなと思います。
平岡:PayPayのロゴシールが貼ってあるのは重要です。お店で買い物するとき、支払い方法が選べるか気にする方は増えていると思います。わたしも、買い物するとき、使える決済サービスの「マーク」をつい探してしまいます(笑)
――PayPayと組むことで期待する今後の展望
一三:PayPayアプリには、お店のお得なクーポンや、お店の情報が出てきますよね。「Ki-Re-i」の情報も、ユーザーの年齢層や地域にあわせて出てくるといいですね。
山本:「近くの「Ki-Re-i」は現在地から何メートル先にあるよ」というような通知ができるようになるといいなと思います。PayPayアプリから「Ki-Re-i」 の検索ページに飛ぶなど、一緒に検討したいです。
平岡:「まもなく5,000台」というキャンペーンもやりたいですね!
現金を扱う業務を減らすことはメリットにつながる
――モバイル決済導入を検討しているオーナーへ一言お願いいたします
一三:キャッシュレス化は間違いなく進んでいくと思います。早く取り掛かったほうが良いという気持ちが大きいですね。対応していない場合は不利になるかもしれません。
平岡:導入する前は目の前に現金がないという不安があるかもしれませんが、現金を扱う量が少なくなる分、管理業務面でメリットも大きいと思います。
作業レベルでの話になりますが一番大変なのは現金を回収して銀行に入金するまでなんですね。これが減っていくことで作業面や安全面も改善していきます。また、現金を扱うことで起こる釣銭切れによるお客様の離脱、機会損失等も防げます。
事業者側が思っているよりも、おそらくユーザーのキャッシュレス化は進んでいます。導入するか、判断を迷っているあいだにお客様を逃すリスクが大きいのではないでしょうか。キャッシュレス決済を導入するということは、新しいやり方を考えていく必要がありますし、慣れるまで最初は大変かと思いますが、現金を扱う業務を減らすことは長い目で見て業務効率化が図れるなど、メリットがあると思います。
顔認識システムという技術が日常的に使われている今、証明写真機にもこの技術を用いて新しいサービスが提供できそうです。無人で24時間販売できるという点もコロナ禍において強みであると感じました。
データ化が当たり前の証明写真機もキャッシュレス決済導入が新しい“当たり前”になる日も近いかもしれないですね!
- 株式会社DNPフォトイメージングジャパン
- HP:https://www.dnpphoto.jp/products/kirei/
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