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飲食店を開業して自分のお店を持ちたいと考えている人のなかには、資金調達や開業に必要な資格、要件が分からず具体的な行動に移せないでいる人も多いのではないでしょうか。実は飲食店を開業するにあたっては、難しい試験や手続きはほとんどありません。
この記事では、飲食店の開業を検討している人のために、資金調達や開業に必要な書類、申請方法を具体的に紹介していきます。
飲食店を開業し自分のお店をもつためには、具体的にどのようなことを考えておくべきなのでしょうか。
具体的に4つのポイントを紹介します。
飲食店を開業するにあたって、多くの人が気になっているのが開業資金ではないでしょうか。結論からいえば、小規模な個人経営の店舗であっても700〜1,200万円程度の資金が必要とされています。
店舗を借りる際の家賃や保証金、外装と内装の工事、飲食店に不可欠な厨房および調理器具などがその内訳となります。一般のアパートやマンションの場合、敷金・礼金は2ヶ月分程度が相場ですが、飲食店用の店舗を借りるとなると10ヶ月分程度の保証金を支払う必要があるため、初期費用として想定以上のコストが取られないように注意が必要です。
もちろん自宅を店舗として営業する場合であれば、家賃や保証金は必要ありませんが、それでも内装や厨房の改装工事が必要となるケースがほとんどです。
また、飲食店をオープンした直後から、大盛況で安定的な売り上げを伸ばせるのであれば問題ありませんが、開業後しばらくは売り上げが伸びず苦労するオーナーも少なくありません。最低でも数ヶ月分の運転資金も、あらかじめ用意しておくようにしましょう。
飲食店の経営においてすべての開業資金を自分自身で用意できるのであれば問題ありませんが、それはあまりにもリスクが大きすぎると考える人がほとんどです。そのような場合、多くの経営者が活用を検討するのが補助金や助成金です。
補助金や助成金は返済義務のある融資ではありません。国や自治体から創業における援助を受けられるため、店舗の開業を控えているオーナーにとっては心強い存在といえるでしょう。
飲食店を開業するにあたり、必要な資格を取得しているかを事前に確認しておきましょう。開業にあたって必須の資格もあれば、条件に応じて必要な資格、さらには必須ではないものの取得しておいたほうが有利な資格も存在します。
すべての従業員が資格を取得する必要はありません。一般的な個人経営の飲食店の場合、スタッフに取得させてしまうと、万が一その人が退職した場合に、他の人が資格を取り直さなければならなくなります。そのためスタッフよりもオーナーが取得しておいたほうがよいケースがほとんどです。
飲食店の開業にともなって、すべて自己資金で調達できる場合を除き、必要になるのが事業計画書とよばれるものです。これは融資を受けたり補助金、助成金を受給する際に提出が求められる書類で、その名の通り、店舗の経営に関する事業計画を記載します。
飲食店を開業するにあたって大きな課題となる費用について、どの程度かかるのか、さらには具体的な資金調達の方法も解説します。
飲食店の開業にあたって必要となる開業資金には、以下のような項目が挙げられます。
家賃や光熱費、従業員への給与など、通常の運転資金にあたるものも含まれていますが、開業後数ヶ月間の運転資金は、余分に準備しておくようにしましょう。
上記で挙げたような費用をトータルすると、小規模店舗であっても700〜1,200万円程度の費用が見込まれます。
開業に必要な資金をすべて自前で用意できる場合は別ですが、多くのオーナーはさまざまな方法で資金を調達し開業にこぎつけます。 一般的には金融機関から資金調達を行う方法が多いですが、それ以外にも自治体や公的機関が提供している融資制度も存在するため、複数の融資制度を活用するケースも少なくありません。
また、最近ではクラウドファンディングのようにインターネットを通じて開業資金を集める方法もあり、利用するオーナーが増加傾向にあります。
国や自治体が提供している補助金や助成金は誰もが無条件に支給対象になるというものではなく、一定の要件を満たす必要があります。代表的な補助金や助成金と支給要件をピックアップしてみました。
創業補助金
支給上限額 | 200万円 |
助成金の使途 | 内装、厨房の工事費、賃貸料、保証料などの経費 |
必要書類 | 事業計画書・申請書 |
審査期間 | 1〜2ヶ月 |
(出典:創業支援に関する情報|独立行政法人 中小企業基盤整備機構)
小規模事業者持続化補助金
支給上限額 | 補助対象経費の3分の2以内かつ50万円以内 |
助成金の使途 | 内装、厨房の工事費、賃貸料、保証料などの経費 |
必要書類 | 経営計画書・補助事業計画書・申請書 |
審査期間 | 1〜2ヶ月 |
(出典:小規模事業者持続化補助金|日本商工会議所)
飲食店の開業を目指す人のなかには、さまざまな本やインターネット上の情報で「自己資金ゼロで開業できる」という文言を目にしたことがある方も多いと思います。
たとえば、もし金融機関からの融資や補助金、助成金、その他さまざまな資金調達方法によって開業資金を集めることができれば、自己資金ゼロであっても飲食店を開業すること自体は可能です。
しかし、開業後の運転資金の確保にくわえて融資の返済を行っていかなければならず、現実問題として考えたときに経営はかなり苦しいものになる可能性が高いです。そのため、安定的に飲食店の経営を行っていくためには、やはり開業の時点である程度の資金は準備しておくべきといえます。
飲食店の開業にあたって、必須の資格もあれば特定の条件を満たす店舗に限って必要となる資格もあります。今回は多くの飲食店に共通する2つの資格について確認していきます。
飲食店の経営において必要なのは、「食品衛生責任者」という資格です。これは各都道府県の食品衛生協会が実施している講習を受けた後に行われる試験に合格すれば資格を取得できます。
資格自体の難度は決して高くはないため、比較的簡単に取得できるはずです。受講費用も1万円程度と安価に設定されています。
(出典:食品衛生責任者養成講習会)
個人経営の小規模店舗であれば食品衛生責任者のみで経営できますが、収容人数が30名以上の店舗を経営する場合は「防火管理者」という資格も必要です。消防署が実施している防火管理講習を受けることで取得でき、講習にかかる日数も1〜2日程度。受講費用は7,000〜8,000円となっています。
(出典:防火・防災管理講習|一般社団法人日本防火・防災協会)
飲食店の開業に必要な資格と聞くと、真っ先に調理師免許を想像する人も多いのではないでしょうか。しかし、実は調理師免許を持っていなくても飲食店の経営は可能です。調理師免許があることによって一定の料理の技能を有しているという証明にはなるため、飲食店を経営するうえで有利であることは間違いありませんが、経営において必須な資格ではありません。
飲食店の開業にあたって必要となる届出について確認していきましょう。今回は公的機関ごとに必要書類を紹介します。
飲食店開業にあたって必要な届け出はさまざまなものがあり、主に保健所や消防署、税務署、警察署などに書類を提出します。
保健所 | 食品営業許可申請 |
税務署 | 個人事業の開廃業等届出書 |
社会保険事務所 | 社会保険の加入手続き |
労働基準監督署 | 労災保険の加入手続き |
公共職業安定所 | 雇用保険の加入手続き |
消防署 | 防火管理者選任届 防火対象設備使用開始届 火を使用する設備等の設置届 |
保健所に提出する食品営業許可申請はすべての飲食店が対象となり、店舗を開業する10日前を目処に提出しなければなりません。
飲食店の営業許可を取得するにあたっては、所定の申請書類を揃えて保健所に提出しましょう。
営業許可の申請手続きや必要書類については以下の記事で詳しく解説しています。
飲食店の営業許可はどうしたら取れる?取得の流れと必要な届出について徹底解説
個人経営の店舗として開業するのであれば、税務署へ「個人事業の開廃業等届出書」を提出します。いわゆる開業届ともよばれますが、確定申告の際に青色申告を選択するのであれば、青色申告承諾申請書もあわせて提出します。
個人事業主で従業員を雇う場合は社会保険の加入は任意ですが、法人として従業員を雇う場合は強制加入となります。できるだけ速やかに社会保険事務所へ出向き手続きを行う必要があります。
従業員を雇う場合は労災保険への加入が必要となるため、雇用してから10日以内に労働基準監督署へ出向き手続きを行います。
労災保険と同様、従業員を雇う場合は雇用してから10日以内に公共職業安定所へ出向き手続きを行います。
30名以上の座席がある場合は防火管理者選任届を、ガスコンロなど火気を使用する場合は火を使用する設備等の設置届をオープン当日までに提出します。また、店舗のオープン7日前までに防火対象設備使用開始届も提出する必要があります。
飲食店の開業が初めての人であっても安定的な経営を実現できるよう、経営にかかわる基本的なノウハウをご紹介します。
事業計画書を作成する際にもっとも重要な要素となるのが、売り上げの予測です。飲食店の経営が初めての人にとって、つい感覚値で記載してしまう人も多いですが、あくまでも論理的な説明が求められます。
たとえばどの程度の席数があり、どの程度の来客が見込め、提供メニューの平均単価からどの程度の売上予測が立てられる、といったように明確な根拠を示さなければなりません。
事業計画は融資や補助金、助成金の審査において必須ですが、もしこれらの制度を利用しない場合であっても、盤石な経営基盤を構築するためにも事業計画は綿密に立てる必要があります。
どのような客層にアプローチしたいのか、明確なコンセプトを立てることも重要なポイントです。たとえばオフィスが近い場所に立地しているのであれば、居酒屋だけではなくランチの時間帯もオープンさせることで大幅な売り上げアップにつながります。
また、女性の来店客に特化するのであれば、スイーツなども充実させたメニューを提供すると喜ばれることでしょう。とくにSNS映えを狙ったインパクトのあるメニューはお店の宣伝にもつながるため、集客対策としても有効です。
個人事業主として飲食店の開業に憧れている人も多いと思いますが、安定的な経営を行うのであれば小規模店舗であっても700万円から1,200万円程度の開業資金が必要になります。
しかし、補助金や助成金を活用することもできるほか、資金調達先も多様化しているため、アイデア次第で手持ち資金が少ない状態でも飲食店を開業できる可能性も十分あります。
食品衛生責任者など必要な資格はあるものの、短期間で取得できるためハードルは決して高くないといえるでしょう。これから飲食店の開業を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
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