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飲食店を開業したものの、思うように売上が伸びずに悩んでいる経営者も少なくありません。売上を確保するために価格を見直そうとしても、さらに客足が遠のくのではないかと不安に感じることもあるでしょう。
店舗の売上をアップさせるには、集客力と単価を上げるための取り組みが必要です。今回はそれぞれの項目に分けたうえで、7つのポイントに絞って紹介していきます。
飲食店をすでに開業している方はもちろんですが、これから飲食店のオープンを予定している方も、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店に限ったことではありませんが、店舗の売上は来店客数と客単価によって決まります。一方が増えたにもかかわらず、一方が減少してしまうと売上はほとんど変わらないケースもあるため、あくまでも双方の数字を伸ばすよう意識する必要があります。
来店客数を増やすためには、新規顧客の獲得とリピート客のつなぎとめが重要です。新規顧客を増やすことだけに注力してしまうと、それまで通ってくれていたリピート客が離れてしまうこともあるため、バランスをとりながら集客対策を講じていくことが必要といえるでしょう。
集客アップと同時に重要なのが客単価のアップです。しかし言うまでもなく、メニューの値上げは消費者がもっとも敏感に反応するポイントでもあります。
値上げの幅や値上げに踏み切る理由に消費者が納得しないと、それをきっかけにお客様が離れていってしまう原因にもなるため、慎重に判断しなければなりません。
飲食店の売上アップのために集客と客単価が重要であることは分かりましたが、では実際にどのような施策や行動を起こせばよいのでしょうか。
まずは集客アップに役立つ方法を4つご紹介します。
お店のコンセプトがお客様に伝わるよう、個性や特徴を活かした店舗作りが要求されます。
例えば和食を提供する店舗であっても、リーズナブルな大衆食堂を意識しているのか、個室を完備し落ち着いた雰囲気で楽しめる懐石料理を提供する料亭なのかによっても、提供すべきメニューは異なりますよね。
まずはどのようなお店にしたいのか、明確なコンセプトを決める必要があります。そしてその際は、他店と似たようなコンセプトではなく、自身のお店にしか提供できない個性や価値を打ち出すことも意識するといいでしょう。
飲食店を経営していると、来店する客層に一定の傾向が見えてきます。もしかするとオープン前は想定していなかった客層が来店していることに気づくかもしれません。
このとき、なぜこのような傾向があるのかを考え、来店理由を分析することが重要です。
また、オーダーされるメニューの傾向や単価からも、一定の傾向が見えてくることもあるでしょう。高級店を意識してオープンしたにもかかわらず、オーダーされるメニューは単価が低いものに集中していることがわかれば、その傾向に合わせたメニューに軌道修正すると、リピート客の確保につながることもあります。
会社の送別会や友人同士での会食等、グループで食事を楽しむ際には事前に予約を入れておくのが一般的です。ごく少数のグループであれば、普段から行きつけのお店に足を運ぶこともできますが、大人数となるとそれに対応できるお店をグルメ情報サイトから探すことも多いはず。
そのため、大人数のグループ客を集めて効率的に集客アップを狙うのであれば、グルメ情報サイトをうまく活用するのもおすすめです。グループ客のなかには新規来店客も多く、来店を機にリピート客となってくれるかもしれません。
お店を構え、ひたすら来店客を待つという考えのオーナーも多いですが、集客に悩んでいるのであれば、積極的に情報発信をしていくことも重要です。なかでもSNSはコストをかけずにお店の宣伝ができるツールのため、活用しない手はありません。
もし料理の画像をアップして視覚的にアピールしたいのであればInstagramがおすすめです。いわゆる「インスタ映え」するようなインパクトのあるメニューがあれば、情報が拡散され集客につながるケースもあります。
また、期間限定のキャンペーンやお店の情報をリアルタイムで伝えたい場合にはTwitterがいいでしょう。来店客の反応がダイレクトに感じられ、新メニューの考案やリクエストに応じることで新規顧客の呼び込みにつながるケースもあるようです。
さらに詳しく集客手法を知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。
飲食店の集客力を上げるのに必要な施策・ツールはなに?徹底解説します!
売上アップに欠かせないもう一つのポイントである、客単価のアップに有効な施策を3つご紹介します。
飲食店を経営していると、オーダーされるメニューに偏りが生じてくることもあるでしょう。オーダー数が多いメニューはそれだけ需要があるということなので、同じようなジャンルのメニューを充実させれば売上アップにつなげられるケースも。
客単価をアップさせるには、既存のメニューを残しつつも、食材にこだわったプレミア感のある新メニューを加えるなどの工夫もおすすめです。多少価格が上がったとしても、せっかくの機会だからおいしいものを楽しみたいというニーズにも対応できるでしょう。
客単価が低いからといって、単価を底上げするためにすべてのメニューを一律で値上げするのはリスクが高いものです。原材料費が高騰していて赤字経営が続いている場合や、あまりにも価格が安く常連客から心配されるほどの状況でもない限り、一律値上げに納得する消費者は多くありません。
そこで、メニューそのものの値上げではなく、サービスに付加価値をつけるという方法もあります。例えば店内の生け簀(いけす)から魚介類を釣ってその場で食べられるお店や、完全個室でプライベート空間が確保されたお店など、一般的なお店にはあまりないサービスや体験を提供することで集客につなげている飲食店もあります。
単価を上げる際には必ずしもすべてのメニューを一律で上げれば良いというものでもありません。商品によっても原価率や売上頻度は変わってくるはず。それらも考慮したうえで適切な価格を設定する必要があります。
原価率があまりにも高く、経営を圧迫しているような商品があった場合は、メニューそのものを見直すか、必要最小限の価格上昇に抑えることで適切な利益率を確保できるはずです。数あるメニューのなかでもとくに売上頻度が高い商品は、他の商品よりも値上げ幅を小さくしても、十分利益を上げることができるでしょう。
このように商品ごとの特性や売れ行きを考慮しながら、どの商品をどの程度値上げすればよいのかを具体的に検討する必要があります。
飲食店の経営を健全化し、長期にわたって安定した利益を確保するためにはどのような考え方をすればよいのでしょうか。基本となるのは適切な売上の算出です。
個人で経営している10席程度の居酒屋と、チェーン店が経営している100席以上の大規模な居酒屋を比較したとき、当然のことながらそのお店に必要な売上規模は異なるものです。店舗規模に応じて売上規模を測るひとつの指標として、坪月商というものがあります。
これはその名の通り、1坪あたりどの程度の売上があるのかを算出する方法です。
例えば30坪の居酒屋で1ヶ月あたり900万円の売上があった場合、そのお店の坪月商は30万円ということになります。一般的な飲食店の坪月商は15〜20万円程度とされており、30万円を超えると繁盛店であるといえるでしょう。
飲食店の経営にはさまざまな費用が発生します。店舗の家賃はもちろんですが、光熱費や人件費、原材料費は最低限必要になるでしょう。自店にとって適切な売上額がどの程度なのか判断できないという方は、これらの経費をシミュレーションしてみて、さらに自身の生活費、その他必要な経費を加算することで算出できます。
とくに人件費の指標や管理方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
飲食店の人件費の目安はどれくらい?数値の計算やコントロールの方法を詳しく解説
飲食店を開業するにあたって、自身のお店にどの程度の売上が必要なのかを具体的に計画を立てたら、実際にどの程度の売上が想定されるのかを予測してみましょう。
適切な売上予測が立てられるようになると、オープン前の段階で解決すべき課題も見えてくるはずです。
店舗の売上予測は以下の計算式によって算出されます。
このうち、来店客数の内訳を見てみると、店舗の席数と回転数を掛け合わせた数となります。例えば、ファストフード店やラーメン店は短時間で食事を済ませて退店するケースが多いため回転率が高い傾向にありますが、居酒屋や洋食店、寿司店は1時間以上滞在することも多いため、回転率は低い傾向にあります。
回転数が高ければ高いほど客単価は下げられますが、回転数が低いと1組あたりの単価も高く設定しなければ十分な売上を確保することは難しくなります。
上記で紹介した売上予測の計算式から、実際に飲食店の売上予測をシミュレーションしてみましょう。
席数 | 20席 |
平均回転率 | 3 |
客単価 | 800円 |
営業日数 | 26日 |
上記のような店舗があった場合、全ての数値を掛け合わせるとだいたいの売上予測をたてることができます。
156万円が上記店舗の売上予測となり、ここから家賃や原材料費、人件費、その他経費を差し引いたものが利益として計算されます。
とくにコストがかかるのが人件費と原材料費、家賃です。これらのコストと見比べたときに、売上が適切であるかを見極める必要があります。
また、満席だからといってすべての席が埋まっているとは限りませんので、上記式に客席稼働率をかけることでより実態に近しい売上予測を立てることが可能です。
客席稼働率は、以下の式で求められます。
今回ご紹介してきたように、飲食店の経営において売上を伸ばすためには、来店客数もしくは客単価を上げる必要があります。どちらか一方が下がってしまっても売上に変動がなかったり、最悪の場合は売上が下がってしまう可能性もあります。
また、健全な経営を目指すためには売上の状態を把握しておくことも重要です。
そのために坪月商という指標があり、最低でも15万円以上が目安とされています。飲食店の開業と安定的な経営のためには、適切な売上予測を行い、正しく経費を把握することが何より重要といえるでしょう。
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