個人事業主なら知っておきたい節税術を徹底解説!

この記事はこんな方におすすめ

  • 税金の支払いを抑えたいと考える個人事業主の人
  • 将来、個人事業主として起業したいと考えている人

この記事によって分かること

  • 個人事業主の支払う税金は主に4種類ある
  • 個人事業主が行うことの多い節税対策には何があるか

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個人事業主の支払う税金にはどのようなものがある?

個人事業主が支払うべき税金は基本的には所得税、住民税、事業税、消費税の4つです。実際にはその他にも固定資産を所有している方は固定資産税、国民健康保険に加入する方は保険料を支払う必要がありますが、以下では個人事業主が支払うべき主な4つの税金について詳しく解説していきます。

税の種類 概要 支払い方法
所得税 所得に対する税金。1年間の所得の合計額から各種控除を差し引いた額に課税される 個人事業主自らが税額を計算して税務署に申告し、支払う
事業税 地方税の1つ。事業所得が290万円を超える場合に課税 所得税の確定申告をしていれば、申告は不要。通知が来た場合に支払う
住民税 住民であれば支払う必要がある税金 所得税の確定申告をしていれば、申告は不要。通知が来た場合に支払う
消費税 前々事業年度の消費税の対象となる売上が1000万円を超える個人事業主の方が納める必要のある税金 所得税と同様に、個人事業主自らが税額を計算して税務署に申告し、支払う

所得税

所得税は個人事業主であれば自分で納税額を計算し、確定申告を行う必要があります。会社員であれば月々の給料から会社が代わりに所得税を払っていますが、個人事業主であればこのような手続きも自分で行わなければいけません。

所得税の税率は、所得が高くなればなるほど支払う税金も多くなる「累進課税」という仕組みになっているので、所得がある程度まで大きくなるほど税負担も大きくなっています。この場合、会社を設立して法人化することも検討した方が良いでしょう。法人の所得税率はある程度固定されているので、所得が大きくなると法人化したほうが税額が少なくなるケースがあります。

事業税

事業税とは地方税の1つです。所得税は基本的に国に納める税金であることに対し、事業税と住民税は都道府県に納めるものです。事業所得が290万円を超えると納税の義務が発生するので覚えておきましょう。なお事業税の金額については、所得税の確定申告の際に所定の記入欄に記載をしていれば、改めて申告する必要はありません。

ただし、事業税を納めるべき個人事業主は70種類の法定業種に限られており、該当しない個人事業主の方は事業税を納めなくて良いとされています。その70種類の業種に関してもさらに細かく3つの区分に分けられており、それぞれに対して税率が定められています。

参考:個人事業税|東京都主税局

事業を始める際には、自分が行っている事業がどの区分に属しているのかについてよく見ておくようにしましょう。

住民税

住民税は都道府県や市区町村の住民であることで支払うことになる税金です。所得税と同じく所得に対する税金ですが、所得税と違って住民税は前年の所得に対して課税されます。そのため、初年度の売上が良かったからといってその年に出費を増やしすぎてしまうと、翌年の住民税が払えなくなる可能性があるので注意しましょう。

会社員であれば住民税は毎月の給料から自動的に引かれているので意識することはないかもしれません。個人事業主であれば所得税の確定申告をしていれば、そのデータをもとに市区町村側で税額を計算してくれるので、改めて申告を行う必要はありません。

消費税

消費税は、前々事業年度の消費税の対象になる売上が1000万円を超える個人事業主が納める必要があります。このことから、例外はありますが基本的に消費税は開業してから3年目以降でなければ課税されることがありません。3年目以降であっても売上が1000万円以下であれば課税対象とならないため、普段はあまり意識をしていない事業主の方も多いようです。

消費税の課税対象になった場合、自身で消費税を計算し、税務署に「消費税及び地方消費税の確定申告書」を提出する必要があります。

計算方法については、中小事業者には簡易的な計算方法が定められているため、売上が1000万円を超える見込みの時は、事前に確認しておく必要があります。

消費税の計算には2パターンあり、「原則課税方式」もしくは「簡易課税方式」のどちらかで計算をします。課税売上高が5,000万円以下の場合は簡易課税方式も選ぶことができるので、覚えておきましょう。

原則課税方式の消費税納付額=(課税売上高×10%)−(課税仕入高×10%)
※軽減税率の対象の場合は8%

簡易課税方式の消費税納付額=(課税売上高×10%)-(課税売上高×10%×みなし仕入率)
※軽減税率の対象の場合は8%

参考:消費税のしくみ|国税庁

個人事業主の節税対策

個人事業主は自分で確定申告を行う必要があるため、節税に対する知識も備えておかなければなりません。以下では具体的にどのような節税方法があるのかについて解説していきます。

個人事業主の節税で役立つ対策
・青色申告で確定申告を行う

・可能な限り経費計上する

・設備投資をした場合は少額減価償却資産の特例を活用

・小規模企業共済への加入

・生命保険や地震保険に加入して控除を受ける

・NISAやiDeCoを活用し、投資をする

・ふるさと納税の活用

・会計ソフトの利用や税理士への相談

青色申告で確定申告を行う

青色確定申告は、個人事業主の節税対策として非常に有効な手段です。確定申告には青色申告と白色申告の2つがありますが、青色申告をする場合には複式簿記によって記帳を行うため、白色申告に比べて比較的手間がかかります。また、損益計算書や貸借対照表など白色申告よりも用意する書類も多くなり労力を要しますが、その代わりに税金面で大きなメリットが受けられます。

例えば、最大65万円ほどの特別控除を受けられるということも、その1つでしょう。青色申告を行うことは、個人事業主として行う税金対策の第一歩であるとも言えます。

ただし、青色申告をするためには、申告をする予定の年の3月15日までに税務署に届出をし、承認を受けておく必要があるので、覚えておきましょう。

可能な限り経費計上する

所得税は所得を基準として計算するので、必要経費をできる限り計上して所得を少なくすれば、支払うべき税金を減らすことにつながります。必要経費は大きく考えれば仕入れや従業員への人件費などが該当しますが、細かなものとして文房具や飲食代、交通費といったものも計上することが可能です。また、事務所が自宅を兼ねている場合は、家賃や水光熱費についても一部を経費計上できるので覚えておきましょう。

このように、事業に関連するものを経費として計算することによって税金を減らすことにつながるので、事業に関連する出費については帳簿付けを怠らず、領収書やレシートはしっかりと保管しておくようにしましょう。

設備投資をした場合は少額減価償却資産の特例を活用

10万円以上するような設備の購入費は、本来は減価償却費として毎年少しずつ償却していくので経費として一括処理ができません。しかし、青色申告で確定申告を行うことで30万円未満であれば、少額減価償却資産の特例を活用して一度に必要経費とする優遇措置を受けることが可能です。この制度を用いればパソコンやプリンターを購入した際に節税を行うことが可能ですので、積極的に活用するとよいでしょう。

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

小規模企業共済への加入

小規模企業共済は、加入して掛け金を支払うと確定申告の際にその全額を課税対象の所得から控除することが可能で、大きな節税になります。掛け金も月々1000円〜7万円までの間で選択でき、加入した後も自由に増減が可能です。6ヶ月以上積み立てを行うと、廃業した際に共済金を受け取ることができ、退職金の代わりになります。その他にも様々なメリットがあるので、個人事業主の方はぜひ加入を検討してみてください。

参考:制度の概要|小規模企業共済(中小機構)

生命保険や地震保険に加入して控除を受ける

生命保険などの保険料を支払うと「生命保険料控除」として、一定額を所得から控除することができます。平成24年以降の契約については、保険の種類によって新生命保険料控除、介護医療保険料控除、新個人年金保険料控除に分けられます。

また、地震保険に関しても保険料の控除が認められています。地震保険に加入し、保険料を支払っている場合にはその保険料の一定額を所得から差し引くことが可能です。このように、様々な保険に加入することによって、リスクに備えながら節税対策を行うことが可能ですので、把握しておく必要があるでしょう。

iDeCoやNISAを活用し、投資をする

iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入すれば将来のために月々の一定の金額を積み立て、それを元手に投資を行うことができます。掛金は全額所得から控除することができるうえ、利益が出た場合でも非課税となるため、節税対策として非常にメリットがある制度です。

「NISA」は少額から投資を支援するための非課税投資制度で、iDeCoと違って掛金は所得控除の対象にはなりませんが、運用益は非課税になる点は同じです。iDeCoと比べて非課税枠が大きく、またいつでも引き出せるため、運用の自由度が高い制度になっています。また、NISAには「つみたてNISA」と「NISA」の2種類がありますが、併用できるわけではなくどちらかを選択しなければいけません。「つみたてNISA」は少額からの積み立てで、長期的かつ分散的に投資を支援するための非課税投資制度です。投資をまだ行ったことがない初心者でも非常に利用しやすいものになっています。

iDeCoとNISAのどちらが節税に有利なのかという点については、掛け金が全額所得控除になる点で、iDeCoの方が節税効果は高いと言えます。節税に特化して利用したい方はiDeCoを利用するようにしましょう。

ふるさと納税の活用

ふるさと納税は、都道府県や各市区町村に寄付を行い、寄付した場所から特産品をもらうことができる制度です。この制度の節税メリットは、寄付したお金を「寄付金控除」として申請することで税金対策を行うことができる点です。特産品がもらえる上に税金を抑えられるという優れた制度ですので、節税対策の選択肢の1つとしておさえておきましょう。

会計ソフトの利用や税理士への相談

会計ソフトを活用すれば、日々の会計に関する処理の工数を大きく減らせるので、よりこまめに経費を計上しやすくなるでしょう。また、表計算ソフトのように自分で計算式を組まなくてもよいので、計算ミスによる申告漏れなどのリスクを下げることができます。確定申告を行う際にも役立ち、自分で記帳するよりも手間がかかりません。

また、自分で税金に関しての対策を行うだけではなく、税理士を活用することも有効な節税対策となります。税金について税理士へ相談すれば、専門家としての適切な意見をもらうことができます。自分の知らない節税対策や改善案についても聞くことができる場合があります。このように、会計ソフトや税理士を上手に活用してより有利な税金対策を行うようにしましょう。

個人事業主が税金について注意すべきポイント

ここまでは節税についてお話ししましたが、そのほかでも個人事業主は税金について様々なことに注意する必要があります。以下ではその他の注意すべきポイントについてご紹介します。

売上が1000万円を超える場合の注意点

すでに述べたように、売上が1000万円を超えてくれば、消費税に注意する必要があります。個人事業主は消費税を支払う必要のある「課税事業者」と、支払う必要のない「免税事業者」がいます。消費税の課税事業者としては、「前々事業年度の売上が1000万円を超える場合」もしくは、「前事業年度の上半期日の売上が1000万円を超えるまたは給料総額が1000万円を超える場合」のどちらかを満たす場合、消費税が課税されることになります。

このため、売上が1000万円を超えても、すぐに消費税を納めるわけではなく、1年後、もしくは2年後から支払うことになります。売上が順調に伸びているからと支出を増やしすぎてしまうと、翌年の消費税が支払えないといった事態にもなりかねません。売上が1000万円を超えた場合には、消費税についておさえておくことが重要です。

主婦が個人事業主になった場合

妻が主婦として生活している夫婦であれば、夫の扶養に入っているという場合も多いでしょう。そして、主婦の方が個人事業主となれば所得の金額によっては扶養から外れることになるので注意が必要です。主婦の方が個人事業主として開業した場合、収入から経費を差し引いた1年間の合計所得が48万円以上(令和元年分以前は38万円以下)になった場合は扶養から外れることになります。

扶養から外れると所得税や住民税、健康保険料を納める必要があり、出費が増えることになります。主婦が個人事業主になる場合はこのような出費についてもよく考えておく必要がありますので、注意が必要です。

参考:No.1180 扶養控除|所得税|国税庁

まとめ

このように、個人事業主の節税対策には様々なものがあり、知っておかなければいけない知識も非常に多いです。しかし、上記のような節税についての対策をあらかじめ理解しておけば、個人事業主として事業を行う際には必ず役に立ちます。ぜひ参考にしてみてください。

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