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個人事業主として開業を検討しているなら、まずは個人事業主の定義についてしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
個人事業主とは、その言葉の通り「個人で事業を行う人」のことを表しています。会社員であれば勤務先の会社と雇用契約を結んでいるのに対し、個人事業主は自ら事業を行っています。なお、事業主が1人だけで事業運営しているケースだけでなく、従業員を雇用していたり、配偶者や親族などと一緒に事業を営んでいたりしたとしても、法人を設立していない場合には個人事業主となるので覚えておきましょう。
ここでは、個人事業主と会社員の違いについて解説します。最も大きな違いとして、収入に関する考え方があります。会社員は基本的に雇用先から毎月の給与を支給してもらい収入を得ていますが、個人事業主はそもそも給与というものがありません。事業を運営する中で得た売上から、必要経費などを差し引いた「所得」が会社員で言うところの給与と同じような意味合いを持っています。
また、個人事業主であれば会社員と違い、自ら所得税などの税金を計算し、確定申告をしなければなりません。会社員は毎月の給与から税金が差し引かれるような形になっており、税金の過不足についても年末調整が行われます。このような仕組みになっているために、個人事業主であれば会社員よりも税金に関する知識が必要になってきます。必要経費となるものをあらかじめ把握することや、どのようにすれば節税できるのかについても知っておく必要があるでしょう。個人事業主になるのであれば上記のように様々な知識が必要になることも理解しておきましょう。
個人事業主と言っても様々な方がいます。例えばライターやデザイナーなど、自分自身の能力を活かしてクライアントに制作物を提供するような方も個人事業主の一例です。このような業種であれば自宅にいながら作業をすることが可能ですので、場所を選ばない働き方ができる反面、確定申告の際には経費を按分する時に注意が必要になります。
また、チェーン店に加入して営業するフランチャイズも個人事業主として開業することが可能です。店舗を構えて経営することになれば基本的にはそのお店まで出勤する必要があるため、時間や場所に拘束されてしまうこともありますが、運営を自分で行うといったやりがいがあるのは大きなメリットと言えるでしょう。
その他にも、小売業やネットショップなど、個人事業主には幅広い業種があります。同じ個人事業主という形態でも、その働き方などは大きく異なりますので、独立して個人事業主になりたいという方はどのような形で事業を行いたいのかについてまずは考えてみるのが良いでしょう。
個人事業主として開業するのであれば、所得税についてしっかりとおさえておかなければなりません。個人事業主の所得は事業を経営して得られた売上から必要経費を差し引いて計算されます。そして、個人事業主は所得に対して一定の税率を乗じた税金を支払う必要があるのです。
ここで注意したいのは、個人事業主が納付する所得税は「超過累進税率」が採用されており、所得が高くなるほど税率も大きくなる点です。そのため、事業を立ち上げて間もないころなど所得が少ない間は支払うべき税金も抑えられますが、徐々に事業が大きくなり、得られる所得が増えていけば税金の負担も大きくなってきます。ある程度所得が大きくなった際には税金面でメリットのある法人設立も視野に入れておきましょう。
個人事業主として開業するにあたり、税務署や各自治体で手続きが必要になります。法人であれば定款を作成するなど、煩雑な手続きを行う必要がありますが、個人事業主は比較的簡単に開業することができます。具体的にどのようなことをする必要があるのかについて以下で解説していきます。
個人事業主として開業するためには開業届を提出する必要があります。開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」となっており、事業を開始してから1ヶ月以内に税務署へ提出しなければなりません。この際に、提出用と控え用の2枚が必要になるので注意しましょう。
なお、開業届を提出していない場合にはとくに罰則などは定められていません。そのため、開業届を提出していなくても事業を始めることは可能なのです。ただし、開業届を提出すると税金面でさまざまなメリットがあります。代表的なメリットに、青色確定申告が行え、税金を抑えやすくなる点が挙げられます。また、開業届を提出しなければ税務署からの重要なお知らせを受け取ることできません。支払う税金にはどのようなものがあるのか知っておくためにも、個人事業主として開業した後は開業届を提出するようにしましょう。
事業開始申告書は個人事業を開業するために都道府県税事務所へ提出する必要がある書類です。こちらも開業届と同じく提出しなくても罰則などがあるわけではありません。都道府県によっても期限や提出先が異なるため、提出する前にはあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
青色申告承認申請書は、青色確定申告を行うために事前に提出する必要のある書類です。手続きも難しいものではなく、項目にしたがって事業の業種や氏名などを記入すれば申請を行うことができます。青色申告承認申請書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードが可能です。また、税務署の窓口で直接行うこともできるため、お好きな方法で準備しておきましょう。
青色確定申告を行う場合において、家族へ支払う給与に関しては専従者給与として経費とすることができます。経費で処理することができれば税金対策の面で大きなメリットがあるため、できるだけ経費として処理する方が個人事業主の方にとってはお得です。家族への給与を経費として処理するためには、青色申告承認申請書を提出することを前提とし、それに加えて「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。この届出書は新しく事業を始める際や新たに青色専業従事者になる方がいる場合には、2ヶ月以内に提出しなければなりませんので注意しましょう。
これらの書類の他にも「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書」など、任意で提出する書類などがあります。この書類を提出しない場合には棚卸資産は「最終仕入原価法」という評価方法となるため、そのほかで申告したい評価方法がある場合にはこの書類を提出することが必要になります。また、飲食店や美容室などの業種の場合、保健所や消防署への届出が必要になるので、覚えておきましょう。
開業するとなれば業種によっては様々な資金が必要になる場合もあります。個人事業主として独立しようと考えている方は、実際に開業するためにどれくらいのお金が必要になるのかについてあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。以下では個人事業主が開業する際に必要になる資金について具体的に解説していきます。
個人事業主として開業する上で開業届を税務署に提出する必要があります。開業届を提出する際にいくらの費用が必要になるのか気になる方も多いと思いますが、実はこの開業届を提出すること自体は無料で行えます。そのため、資金があまりない状態でも個人事業主であれば簡単に開業することができるのです。
開業届には費用がかかりませんが、提出する書類についてはよく確認しておかなければなりません。上記に述べたような準備すべき書類をあらかじめよく確認しておき、スムーズに手続きを行えるようにしましょう。
開業届に関しては無料で提出することができるものの、業種によって開業にかかるお金は様々です。例えばWebライターやWebデザイナーなどの業種であればパソコンがあれば仕事ができるために、初期費用が少なく済みます。営業を行う場合にも、クラウドソーシングなどを通じて仕事を受注することも可能であり、広告宣伝費などをかけなくても案件を取ることが可能ですので、開業資金が抑えやすい業種と言えるでしょう。
しかし、美容室などの店舗が必要な業種で開業する場合などは状況が大きく異なります。たとえば、美容室を開業するために必要な資金の相場は1,000〜1,200万円程度と言われており、自己資本のみでまかなうことは難しく、融資などを受けて開業される方が多いです。また、集客のために広告宣伝費などもかかってくる場合があります。このように、業種によっても開業に必要な資金は変わってきます。
ただし、どのような業種であったとしても当面の運転資金を最低3ヶ月分は確保しておくことが望ましいでしょう。開業直後は事業としての信頼度も低く、なかなか収益が出ないということも考えられます。そのため、開業当初から運転資金として3ヶ月程度のものを用意しておけば、開業後の資金繰りに悩まされるリスクを減らすことができます。個人事業主として開業される際には開業資金が具体的にいくら必要になるのかについてよく計算しておくようにしましょう。
上記で述べたように、開業資金に関しては業種によってかかるお金も異なっているため、一概にいくら必要になるということは断言できませんが、どの業種においても共通して必要になる大きな費用としては設備投資が挙げられます。
多くの業種で必要になる設備はパソコンなどの電子機器類でしょう。こちらは私用のものと兼用することも可能ですが、兼用した場合にはその費用は全額経費計上することは基本的にできません。プライベート用と仕事用で区別しておきたい方は業務用の電子機器を購入することを検討した方が良いでしょう。
電子機器は購入すればそれ以上のコストが必要にならないというわけではなく、ランニングコストについても考えることが大切です。具体的には印刷する上で必要になるインク代やコピー用紙代などについても計算しておく必要があります。
また、設備投資としてはテナントを借りる資金についてもおさえておく必要があります。飲食店や美容室などで開業される際にはテナントを借りて営業を行う方も多いでしょう。そのような場合には敷金や礼金、そしてリフォームが必要な場合には改装費用が必要になります。改装費用を抑えたい方であれば居抜き物件を借りることによってコストを減らすことも可能ですので検討しましょう。
開業費用についていくらかかるか計算したら、資金の調達方法を考えましょう。もちろん貯蓄でまかなえるのであればそれが理想ですが、多くの場合には自己資本では足りず、他人からの借り入れが必要になるでしょう。
家族や友人などからの借り入れであれば、利息や返済期限について交渉しやすいというメリットがあります。ただし、返済が滞った場合などには親族や友人との信頼関係が崩れてしまう場合もありますので、借り入れを行う際には慎重に考える必要があるでしょう。
家族や友人からの借り入れが難しい場合に、第一に考えるべきが、「日本政策金融公庫」からの融資です。日本政策金融公庫とは、中小企業・小規模事業者の支援を行う政策金融機関です。利息が低く返済期間も長めに設定されており、民間の金融機関と比べて融資を受けやすいのが特徴です。
また、一般の銀行などの金融機関から融資を受ける場合には、過去の経営実績がないと審査が通らないケースが多く、そもそも資金を準備できない可能性もあるので覚えておきましょう。
ここまで説明したように、個人事業主として開業する際には、税務署での手続きの方法や用意する書類、資金調達など多くのことを考えておく必要があります。開業直前になって慌てないように、この記事の内容を参考にして入念に準備しておくようにしましょう。
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